【沖縄】沖縄市中央パークアベニューに設置されたアーケードの老朽化が進んでいる。天板の一部が落下する事案も起きている。パークアベニューの商店街組合は、修復のために年度内にも天板を撤去する方針だったが、天板に石綿(アスベスト)が含まれていることが判明して予算が膨れ上がり、計画が膠着(こうちゃく)している。
アーケードは1985年に完成した。総工費2億7千万円。37年が経過し、天板を支える部品が外れるなど老朽化が問題となってきた。
■予算不足
アーケードを完全に取り壊すと1億6千万円程度かかると試算されている。組合の保有資産では拠出が難しく、主な構造部分はまだ利活用できるため、組合は一部に修復を加えて利用することを検討してきた。
そんな中、国道拡幅工事に伴って昨年アーケードの一部を撤去した際に、天板にアスベストが含まれていたことが判明。アスベストの処分は飛散防止など特別な対応が必要になるため、当初見込んだ撤去費用400万円が3500万円に上り、手元にある約1千万円では足りなくなった。
商店街組合事務局の広瀬陽さんは「保健所とも相談し、まずは落下の危険性の高い天板から外していく」と説明する。広瀬さんは「組合が自らの責任で撤去することが原則だ」としつつ、喫緊の課題だとして市に財政支援ができないか相談した。ただ市は「該当するメニューがない」とし、財政支援は難しいとの立場だ。
■長期計画
事態打開のために商店街は1日、商店街振興などに詳しい流通科学大学講師の新雅史氏を招いた勉強会を開き、アーケード問題の解決に関する研究を始めた。
新氏は全国的にも老朽化した商店街のアーケードを撤去する資金がない問題が相次いでいると指摘する。アーケードの「再整備」をする場合に、国の補助金を活用できる可能性はあるとした上で「振興組合が長期的計画を持っているかが重要だ」と述べ、修繕などにかかる資金の積み立てなど、具体的な計画が不可欠だと指摘した。
広瀬さんは「まず組合が当事者意識を持って具体的な計画を練り、関係機関と協議したい。組合で議論して計画を作っていく」と話している。一方、「喫緊の課題は危険性の除去だ。まずはできる範囲で天板の応急措置を急ぐ」と話している。
(島袋良太)