沖縄最大の物流倉庫「DPL沖縄豊見城」が落成 通販、食品など3社入居 大和ハウス


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マルチテナント型物流施設「DPL沖縄豊見城」(提供)

 大和ハウス工業(大阪市、芳井敬一社長)が沖縄県豊見城市与根で進めている県内最大物流施設計画について、2棟のうち北側のマルチテナント型施設「DPL沖縄豊見城」が13日、落成した。通販、食品業などの3社が入居する。南側で建設中の「DPL沖縄豊見城Ⅱ」は9月に完成予定。同社は2棟の整備で「県外企業を誘致し地元の雇用と税収につながる、まちづくりの核になるような施設を目指したい」と話している。

 大和ハウスは2021年12月31日現在で全国317カ所、総延べ床面積1105万平方メートルの物流施設を開発する。DPL沖縄豊見城は21年2月に着工。鉄骨造りの2階建てで敷地面積約3万平方メートル、延べ床面積約4万平方メートル。総事業費は72億円。

DPL内部。トラックの積み降ろしスペースが向かい合う構造で、荷物を風雨から守る。中央部はトラックが2方向から通り抜けられる=14日、豊見城市与根

 施設内はトラックの通路が中央部を縦断し向かい合うように倉庫群が並ぶレイアウト。台風によるシャッターの破損を防ぐ柱や塩害を防ぐフィルターを設置したり、高潮を想定し電気関係機器を2階の内部に設けたりして沖縄の気候対策も実施している。賃貸面積の約87%が契約済みで、残り1区画の入居を募集している。

 「豊見城Ⅱ」は21年6月に着工している。計画では、鉄骨鉄筋コンクリート造り・鉄骨造りの3階建てで、敷地面積約5万3千平方メートル、延べ床面積約8万2千平方メートル。総事業は148億円。庫内は冷凍、冷蔵、15~20度の定温、常温の四つの温度帯の設定に対応可能で、テナント従業員の労働環境を考慮し保育所やコンビニの併設も検討している。

 大和ハウスは2棟で計700人の雇用が創出されるとみている。今後は県内の離島も含めた他の地域での物流施設の開発を検討しており、当面は県内消費向けを想定しているが、将来的には沖縄の立地を生かした東南アジア向けサプライチェーンの展開も構想する。

 13日は落成式が行われ、同社や設計・建設に携わった関係者らが参加し新たな物流施設の誕生を喜んだ。

 取締役常務執行役員の浦川竜哉氏は「コロナ禍で各企業も製品や部品を多くストックすることで、サプライチェーンが途絶えた際の影響を最小限に食い止めている」と指摘。「沖縄は本土から離れており、何かあったときに食品や医薬品などのストックを増やしたいという需要は大きい」と話し、施設の必要性を強調した。

 (小波津智也)