宮城、福島両県で16日深夜に震度6強を観測した地震。現地の県出身者らは眠れないまま朝を迎え、17日は疲れた様子で片付けなどに追われた。沖縄に住む東北出身者らは、現地の家族や親族の安否や健康状態を気遣った。
福島市の小児科医島田和男さん(86)=沖縄市出身=は、就寝から約30分後に地震に見舞われ、一睡もできずに朝を迎えた。地震発生後は東京電力福島第1原発の状況が気になり、テレビ報道を見ていた。大型の棚は倒れないよう固定していたが、固定しなかった小さめの棚から食器や本などが落ちて足の踏み場もなくなった。「まさかまたこんなに大きな地震が起きるなんて」と疲れた様子を見せた。
宮城県多賀城市の塩浜犬猫病院の塩浜康輝(やすてる)院長(81)=名護市出身=は「病院の薬品が落ちたが、けがはなかった」とほっとした様子で語った。寝ようとしていた時に「ガラガラ」と大きな音がして激しい横揺れが続いたという。津波注意報に不安がよぎったが、1メートルの予報だったので自宅で待機した。「地震は予測できず急に来るから、震災を経験してもやっぱり怖い」と語った。
仙台市で建設会社「島袋フロアー建設」を経営する島袋金福さん(63)=宮古島市出身=は、17日朝から請け負っている工事現場を見て回った。組み立てた鉄骨が影響を受けていないか確認する必要があり、工事再開は早くても22日になる見込みだ。震災ではインフラ復興に携わった経験もあり「これからが大変だ」と気を引き締めた。
沖縄に住む宮城県出身者でつくる「沖縄萩の会」の有見二郎事務局長は、息子(23)と娘(19)が宮城県内で暮らす。「キッチンの調理具が棚から落ちた」「ふすまが外れた」。娘に電話をすると涙ながらに被害を伝えられた。「沖縄で生まれ育ち大きな地震の経験がない。部屋ががちゃがちゃになり心細さもあるのだろう」。17日に妻を宮城県に送りだした。落ち着くまで様子を見るつもりだ。
震災から11年がたったばかりで「こんな大きい地震が再び起きるとは」と驚きを隠さない。親戚や知人は宮城県に多くいて、震災時に沖縄へ一時避難していた人たちの安否も気がかりだ。「早く安全が確認できるといいが」と無事を願った。
福島県などからの避難者の相談支援を行う「沖縄じゃんがら会」の桜井野亜代表は避難者などに連絡を取っていた。「現地の様子が分からず悔しい思いで泣いている人もいる」とおもんぱかった。
(前森智香子、中村万里子、知念征尚)