新型コロナウイルス感染症の拡大や新興感染症に備え、沖縄県は16日、日本ECMOnet(エクモネット)の協力で、ECMO(エクモ=体外式膜型人工肺)を装着した重症患者の搬送を想定した医療従事者向け研修を那覇市の県立武道館で行った。救命率の向上につなげようと、搬送中にエクモのトラブルが起きたときの対処などを学んだ。
エクモは体内から取り出した血液中の二酸化炭素を取り除き、酸素を加えて体内に戻す装置。重い肺炎患者などに使うが、高度な技術や知識が必要となる。
研修には、県内の四つの重点医療機関の医師や看護師、臨床工学技士ら約40人が参加した。4~5人が1チームとなり、救急車に乗り込んだ。エクモの電源が落ち、急きょ手動に切り替えたり、原因を探して復旧させたりしていた。
終了後、エクモネットの医師から、事前にトラブルを想定し役割分担を確認しておくことや、トラブル時に何が起きているか声を出して情報共有することが重要といったアドバイスを受けていた。参加した県立中部病院の臨床工学技士の饒平名(のひな)南希(みなき)さんは「コミュニケーションが大事だと思った」と話した。
今後、県外への搬送も想定し航空機を使った搬送訓練も予定する。エクモネットの小倉崇以(たかゆき)運営統括は「訓練を重ねることで、搬送中に患者が亡くなるケースを減らすことができる」と強調した。
(中村万里子)