変えたいこと、忘れてならないこと 島尻教育研究所所長・大城讓次<未来へいっぽにほ>


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大城讓次(島尻教育研究所所長)

 「受動的・一方的で浅い学び」はもうヤメにする。これは、GIGAスクール構想に携わった官僚の著書にあり、学校で進行中の「主体的・対話的で深い学び」を端的に表現したものである。これからの学校の在り方を思考していた私にとって、腑(ふ)に落ちる一節であった。

 タブレットを活用した授業が当たり前になりつつあるが、各家庭におけるICT機器接続等の環境整備をはじめ、学習評価など課題が浮き彫りになった。その対応に保護者や先生方、関係者の懸命な努力が続いている。

 冒頭の著書では、整備されたICT環境を活用した「生徒の学び方と先生の働き方の生まれ変わり」と示された。同じ教室で一斉に同じ内容に取り組む従来の学び方や、教師の指導の在り方を問い直す画期的な教育改革の波がすぐそこまで来ている。

 私の手元に、卒業式後に子どもたちが記念写真を撮り合う様子を見守っている家族の写真がある。これまで連綿と受け継ぎ充実させてきた学校文化や学校の存在意義を物語る大好きな一枚である。これからも変えてはいけない学校文化の一コマである。

 一方、横並びと称される学校独特の取り組みについては再考し、子どもたちがより主体的で自律的に学びに向かう教育の在り方を構築していく必要があると感じている。今後の先生方の取り組みに期待したい。

 今、私たちが忘れてはいけないこと。それは、東日本大震災等の被災者や新型コロナ感染症で亡くなられた方、遺族等関係者、医療従事者や貧困問題解決に奔走している方々、里親等子どもたちの困難な状況に寄り添い続けている方々などである。このような業務に携わる全ての方々に敬意を表し、最後の稿としたい。