冷却人工芝が沖縄で増 表面温度下げ 住宅や公共施設で COOOL(福岡県)


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特許申請中の「クールターフ」の模型を手に仕組みを説明する濱口光一郎社長=10日、与那原町の親川広場

 福岡県のベンチャー企業COOOLが開発した国内初の冷却人工芝「COOOL TURF」(クールターフ)を導入する個人宅や施設が、県内でも増えている。ゴムチップが詰められた従来の人工芝は、炎天下では芝の表面温度が70度以上になることもある。クールターフは人工芝の上に独自開発した冷却目土「寒土」を充填(じゅうてん)することで、表面温度の冷却を可能にした。天然芝のような柔らかな肌触りも特長だ。

 元々大手ゼネコンの現場監督だった濱口光一郎社長が、人工芝でラグビーをしていた息子のけがを機に、「子どもたちが、はだしで思い切り走り回れる環境を作りたい」と天然芝に近くて安全な人工芝の研究開発を始めた。従来の人工芝は表面が高温になるだけでなく、水はけが悪いため悪臭やカビなどの課題があり、身体への衝撃を吸収しにくく、けがをしやすいことも分かってきた。

 濱口社長は母校の有明高専と共同で、石灰石の一種の寒水石やヤシガラを使用した天然素材100%の寒土を開発。独自の人工芝に寒土を充填する技術を確立した。雨や夜露を吸収した寒土は冷却効果を発揮し、通常の人工芝より20度近く表面温度を下げる。原材料に木の樹皮も含まれているため、抗菌や防臭の効果もあるという。

 濱口社長は「凹凸の多い敷地やマンションの高層階でも施工できる。夢の景色をかなえてほしい」とアピールした。

 肌触りと環境配慮に優れた点が評価され、2020年にはサッカーJ1ヴィッセル神戸のイニエスタ選手が自宅バルコニーの練習場に採用した。県内では与那原町が昨年、庁舎に取り入れたほか、4月1日に開所する町指定文化財・親川拝所を含む親川広場にも導入する。町の担当者は「見栄えが自然で手入れもしやすい。何より安全性が一番の決め手になった」と述べた。

 詳細は沖縄支店(電話)098(851)9832。 (当銘千絵)