生後2カ月から5年以上、里親家庭で育てられ現在、一時保護中の児童(5)を元里親の小橋川学さん(56)と久美子さん(55)夫妻に委託することを「難しい」と判断した県の審査部会。一方で、22日に県を通じて公表された審査部会のコメントでは、児童相談所側に支援介入不足などがあったと指摘し、児相と夫妻に「児童のため協力・協働関係を再構築する、不断の取り組みを継続していくことを期待する」と求めた。
県は審査部会の詳しい答申内容を明らかにしていないが、審査部会のコメントでは、夫妻に一時保護を委託することが難しい理由は「児童が一時保護所の生活に適応」などと言及している。
ただ、夫妻は児童の発達の特性などから、慣れない人にうまく気持ちを伝えられないとし「普段の様子を知らないと、適応しているかどうかは分からないはずだ」と、児童の体調を気遣った。
児相側と夫妻側の主張には食い違いもある。審査部会のコメントでは「実親から里親へ送られていた直筆の手紙」などの資料を確認したとしている。夫妻によると、これまでに実親からの手紙を受け取ったことはない。児相を介して洋服をもらったことはあるが、手紙は入っていなかったという。
県内のある里親経験者は、今回のコメントについて「大人の立場で語られている内容。児童の気持ちが反映されていない」と話した。