国保、沖縄28市町村で赤字 公費拡充でも収支悪化 20年度【一覧表】


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沖縄県庁

 県国民健康保険課は24日、県内41市町村の2020年度の国民健康保険(国保)の財政状況(速報値)を発表した。一般会計から法定外繰入金を除いた単年度収支は全体で20億4245万円の赤字で、赤字市町村は19年度の26市町村から28市町村に増加した。

 速報値によると、市町村財政を圧迫する決算補填(ほてん)を目的とした法定外繰入金は29億4542万円で前年度比37%減となった。翌年度の収入を繰り上げて不足分に充てる前年度繰上充用金は21億2489万円で前年度比38.6%減となっている。

 県によると、18年の国民健康保険制度改革以降、国からの公費が拡充したことで繰入金や充用金は減少傾向にあるものの、実質収支は悪化しており「依然として厳しい財政状況が続いている」としている。

 20年度は新型コロナウイルスが流行した影響による受診控えで、1人当たりの医療費が32万9719円で前年度比2.2%減少した。それに伴い、各市町村の保険給付費も減ったため、全市町村の支出合計は1739億6846万円で前年度比2・2%減となった。県によると「増え続けてきた医療費や保険給付費が減ることはかなりまれ」という。

 一方で、コロナ禍以前に算出された県への「国民健康保険事業費納付金」は増加しており、赤字の一因となっているという。

 20年度末の被保険者数は39万2896人で、19年度末と比べ2861人減少した。国民健康保険料の収納率は94.64%で前年度比0.95ポイント増加した。

 一部でも滞納がある世帯は2万8099世帯で全世帯の11・8%を占める。延べ差し押さえ世帯数は1984世帯だった。
 (嘉陽拓也)