戦地から母校へ、一中の帽章が帰る 沖縄戦で学徒動員 炭化したおにぎりも…


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見つかった帽章

 沖縄戦に鉄血勤皇隊などとして学徒動員された県立第一中学校(現・首里高)の生徒が身に付けていたとみられる「帽章」を見つけたボランティアグループが26日、那覇市内で一中・首里高の同窓会「養秀同窓会」に帽章を“返却”し、同所で見つかった他の遺留品も寄贈した。同窓会によると、戦地だった場所から帽章が見つかるのは初めて。元一中鉄血勤皇隊の与座章健さん(93)=南風原町=が帽章を確認し「ひん曲がっているね。誰のものだったかねー」と目を見開いて、思いをはせた。

 発見したグループは写真家の浜田哲二さん(59)=青森県=と執筆家で妻の律子さん(57)=同=や若者らでつくる「みらいを紡ぐボランティア」。メンバーの女性が20日、糸満市内にある日本軍の野戦陣地壕で、土を掘り進める中で見つけた。

 帽章は真ちゅう製とみられ、3分の1ほどがねじ曲がっているが、特徴である「中」の文字や桜と葉の模様が確認できる。陣地は日本軍第24師団歩兵第32連隊第1大隊が使っていたとみられ、周辺には砲弾や手投げ弾破片、炭化したおにぎりなど、生々しい戦争の痕跡も残っていた。それらも同窓会に贈られた。

レプリカの帽章

 浜田さんは「同窓生に返せて良かった」と感慨深げに語った。浜田さんらは昨年、遺留品が見つかった陣地壕の近くで沖縄戦戦没者とみられる8体の遺骨も収集しており、身元特定につながるDNA鑑定や情報提供を期待した。

 帽章や遺留品は今後、養秀同窓会館内の「一中学徒隊資料展示室」で展示予定という。

 同窓会の太田幸子副会長は「一中生は一中生であることを誇りにしていて、大事に身に付けていたと思う。本当にありがたい。戦闘の激しさを物語るモノとして活用したい」と感謝の言葉を繰り返した。

与座章健さん(中央)に見つかった帽章を見せる律子さん=26日午後、那覇市の養秀同窓会館

(仲村良太)