子どもが生まれ育った環境に左右されず、夢や希望を持って成長できる環境を目指す県子どもの貧困対策推進会議は28日、2022年度から26年度に実施する「新たな子どもの貧困対策計画(案)」を承認した。従来の指標や施策に加え、22年度からは若年妊産婦の相談や就労支援、保護者の雇用の質改善など、親世代への支援も手厚くした。新計画では、これまで追跡できなかった中学卒業後の進路未決定者に進学や就労支援を実施する。進路未決定者の支援を実施する県教委は「貧困の連鎖を断ち、自立できる仕組みを整備したい」と語った。
県によると「新たな子どもの貧困対策計画(案)」では、医療費の窓口無償化や待機児童解消などにより乳幼児期の課題解消が進む傾向があるため、今後はヤングケアラーや中学卒業後の進路未決定者の実態把握など、新たな課題の洗い出しにも力を入れるという。
新計画では、予算の一部を担う貧困対策推進基金を前計画から60億円に倍増した。22年度は基金から6億円支出し、県と市町村に3億円ずつ振り分ける。これまで実績ベースで予算を受けていた市町村としては、事業実施の見通しが立てやすくなるため、就学援助や入学前の学用品支給の対象拡充などが見込まれるという。
貧困の実態と施策の検証を目的とした指標は現行計画から四つ増え、45指標となった。昨年実施した0~17歳の子を育てる家庭を対象とした調査で23・2%だった困窮世帯の割合は、19・8%に改善する目標値などを設定している。
新たな計画には県民や有識者、関係団体などから242件の意見が寄せられ、そのうち69件を反映した。
(嘉陽拓也)