「世界から選ばれる持続可能な観光地に」観光業満足度80%目標 沖縄県第6次観光振計


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 県文化観光スポーツ部は30日、第6次県観光振興基本計画(2022年~32年)策定に向けた第4回県観光審議会を那覇市の県市町村自治会館で開いた。沖縄観光の将来像を「世界から選ばれる持続可能な観光地」とし、10年後までに達成する「社会」「経済」「環境」の各分野の目標値を提案した。

 「社会」では県民、観光事業者、観光客の三者全てが幸せな観光地を目指す。県民の幸福度は、観光の経済効果を高めることで現状の83・5%から90%に上げる。観光事業者の満足度は待遇改善などで、現状の54・1%から80%まで伸ばす。観光客の満足度は、沖縄でしか味わえない体験の提供機会を増やし、現状の69・8%から80%に高める。

 「経済」では、観光事業者の月収を現状から2万円向上させる。20代は年収280万円、役職者(部長級・課長級・係長級)は同448万円と掲げた。沖縄振興開発金融公庫の20年度県内主要ホテルの稼働状況に掲載されている179施設に対して、県が独自の産業実態調査を実施して目標値を算出した。観光収入は年間1・2兆円、延べ人泊数は年間4200万円を目指す。

 「環境」では、環境に配慮した観光地を目指すため、宿泊施設のアメニティー廃止を導入する施設と、再生可能エネルギー対応の観光関連施設、フードロス削減を推奨するホテル数をそれぞれ100件まで増やすことを掲げた。

 また県は、新型コロナウイルスの影響でダメージを受ける観光業界の復活の道筋を示すべきとの委員からの意見を受け、22年度の「観光の回復・復興に向けた考え方」も策定する方針を示した。5月に予算案や22年度の入域観光客見込み値などを発表する。

 委員を務める日本旅行業協会沖縄支部の與座嘉博支部長は「この2年間で支援に関して28回陳情したが、観光業界にはいまだに十分な支援が行き届いていない。復興に向けた考え方が5月に出るというのは遅い」と指摘した。

 県レンタカー協会の白石武博会長は「観光の受け入れインフラが壊れており、計画にリアリティーがない。復興会議を定期的に開いてほしい」と話した。

 審議会は今回が最終回で、今後意見を踏まえた計画をまとめて4月に玉城デニー知事に答申する。5月中に基本計画を公表する。