「所得向上」応援企業を認証 沖縄県、奨学金返済支援など優遇へ


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県所得向上応援企業認証制度のロゴマーク

 県商工労働部は30日、「県所得向上応援企業認証制度」の創設を発表した。県内企業の生産性や競争力が高まり、利益を従業員の給与に還元することを推進。所得向上を通じ、子どもの貧困問題の解決などを目指す。認証された企業には、県が2022年度から実施する、奨学金返還支援制度の支給額引き上げなどの優遇措置を付与する。県は「全国に先駆けた制度だ。稼ぐ力で企業と社会の成長サイクルを生み出したい」とPRしている。

 県が設置した「稼ぐ力」に関する万国津梁(しんりょう)会議が提言書をまとめ、分配の促進を通じた具体策として県独自の認証制度の創設を訴えていた。

 新制度は4月中に要綱を公開し、5月以降に申請企業を審査する。給与総支給額の伸び率や平均年収、正社員比率や女性従業員比率といった雇用状況や財務諸表などを基に認証を判断する。県の奨学金返済支援制度は、従業員に対し企業が支援する年間返済額の2分の1を補助するが、認証企業には4分の3の補助を検討している。

 県はこれまで07年にワークライフバランス、13年に人材育成に関する認証制度を創設し、生産性と雇用の質の向上に取り組んでいる。次年度から新たな認証制度を始動することで、子どもに関する教育への投資促進や消費による経済活性化を促し、地域社会の成長につなげたい考えだ。

 30日の会見で県商工労働部の嘉数登部長は「従業員に還元する取り組みが社会全体の好循環につながる」と指摘。「沖縄の問題である、子どもの高い貧困率などの解決に資する制度だ。ぜひ積極的に活用してほしい」と話し、企業の申請を呼び掛けた。
 (小波津智也)