沖縄総合事務局は30日、今秋に着工する首里城正殿の復元に向けた実施設計を発表した。2022~26年度に実施される正殿本体の復元整備、城郭内の防災・防火設備の整備などにかかる総工費は約120億円と見積もった。防火対策の強化や大径材の調達資金の高騰などにより、総工費は約33億円だった前回復元時の4倍となる。
正殿工事には、県に寄せられた寄付金の一部も活用する。
実施設計でポイントとなる防火対策では、火災発生時に迅速かつ適切な対応が可能となるよう、誤作動防止機能付きのスプリンクラーや、消火用の水を城郭内に送る連結送水管を新たに設置する。
構造材は国産ヒノキを原則とし、象徴的な場所など一部に県産材のイヌマキやオキナワウラジロガシを使用する。
赤瓦には沖縄本島産の材料を使用し、一部に正殿の破損瓦を粉砕したシャモットを再利用する。首里城全体のイメージを作り上げる外壁の顔料には、久志べんがらを採用する。
沖縄総合事務局は「30年前と社会情勢は異なるが、復元の基本的な考え方や設計は前回復元時を踏襲する。県民の皆さんに一日も早く正殿をお見せできるよう作業を進めていきたい」と述べた。
(当銘千絵)