玉城デニー知事を支える県議会与党が、沖縄の本土復帰50周年を前に、「県民大会」を開催すると発表した。5月15日の節目の日に向けて高まる祝賀ムードだけでなく、大会開催で基地問題を中心とした復帰後も残る諸課題への関心も高めたい考えだ。世論喚起を通して、玉城県政が復帰50年に当たり策定を進める建議・宣言の意義付けを図る狙いもある。
3月27日、知事公舎で玉城知事らと与党県議による意見交換会が行われた。復帰前の1971年に琉球政府の屋良朝苗主席(当時)らが、諸課題に対する政府への要求をまとめた「復帰措置に関する建議書」(屋良建議書)を踏まえ、玉城県政が策定を進める建議・宣言が議題となった。
知事選も近づく中、県内外から注目を集める文章と位置付けられる玉城知事の建議・宣言。その発信の重要性を踏まえ与党県議からは「バックボーンに世論がないと単なる作文にしかならない」などの“注文”があったという。
もともと過重な基地負担など復帰前から続く課題が、祝賀ムードの陰に隠れることへの懸念があった与党。玉城知事の求めもあり、「建議・宣言の後押し」(与党県議)という世論喚起への動機ができたことで、意見交換会から1週間余りで大会の開催発表にこぎ着けた。
関係者によると県政の建議・宣言と大会宣言は、連携する形で作成されるという。
一方で、与党単独での開催に向けた動きがある「県民大会」に、野党の自民には不快感が広がる。これまで実施されてきた県民大会では「超党派」での開催への模索があったためだ。
自民県連幹部の一人は「復帰についての思いの共通点を見いだすことが重要だったのではないか。知事選を前に、身内だけで結束を図ろうとしているようにしか見えない」と冷めた口調で語った。
ある与党県議は「自民は元から乗っからなかっただろう。仮に一緒にやれば、大会で発信する内容が骨抜きになった可能性が高い」と話した。 (大嶺雅俊)