琉球交響楽団(琉響)の第41回、第42回定期演奏会がそれぞれ、3月20日に名護市民会館大ホール、21日に那覇文化芸術劇場なはーと大劇場で開催された。大友直人指揮の下、約60人のオーケストラ編成で、ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」やフランクの「交響曲ニ短調」を演奏し観客を魅了した。
定演の名護市開催は初めて。第42回は那覇文化芸術劇場なはーとこけら落とし公演の一環。コンサートマスターはゲストの松井直(なおき)が務めた。
幕開けはベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」。華やかな短い序奏の後、イングリッシュ・ホルンが哀愁を帯びた旋律を奏で、ビオラなど弦楽器の美しい音色を響かせた。後半は「ローマの謝肉祭」の主題に基づいて、イタリアの陽気な舞曲・サルタレロの生き生きとしたリズムに乗って明るく華やかに演奏を繰り広げた。
20日は東京交響楽団の主席ホルン奏者で沖縄市出身の上間善之(県立芸大出身)をソリストに迎え、モーツァルト「ホルン協奏曲第3番変ホ長調KV447」を演奏した。同曲はオーボエの代わりにクラリネットを用いて、クラリネット2本、ファゴット2本、弦楽の珍しい編成。クラリネットの入った柔らかな響きの中で、歌い踊るような上間のホルン独奏は穏やかさを感じた。とりわけ第2楽章はホルンの美しい音域が歌うようにその魅力を聴かせ、聞き応えがあった。
21日は広島県出身のピアニスト萩原麻未を迎え、ラベル「ピアノ協奏曲ト長調」を共演した。第1楽章は鞭のピシャリというインパクトの強い音で始まり、ジャズ風なピアノの独奏の後、管楽器がメロディーを引き継ぎ、ドラマチックな展開が繰り広げられた。
一転、第2楽章は叙情的ではかなげな演奏。ピアノの長い独奏の後に、フルート、オーボエ、クラリネットが旋律を奏で、ファゴットやホルンなども柔和に重なった。第3楽章はトランペットを中心とする金管楽器が特徴的なリズムを刻み、活力にあふれた動的なメロディーで楽しませた。
最後はフランクの「交響曲ニ短調」。琉響の楽団設立コンサートでも演奏し、設立20周年イヤーの締めくくりとして再演。第1楽章は荘重なメロディーから一転、ニ長調に転調。主題は一度聞くと忘れられない特徴的なメロディーだ。第2楽章は弦楽器とハープの伴奏にイングリッシュホルンの旋律が美しく響かせ、優美で流れるように演奏。第3楽章はスケールの大きさに観客から盛大な拍手が湧いた。
定期公演は2021年度から年3回開催される。次回は9月11日に那覇文化芸術劇場なはーと大劇場を予定している。
(田中芳)