大量に漂着した軽石…改良土に活用 福山商事・南西環境、塩分除去し開発


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軽石を30%配合した流動化改良土の試験の様子(提供)

 福山商事(浦添市)と南西環境研究所(西原町)はこのほど、県内各地に漂着した軽石を活用して埋め戻しなどに使われる「流動化改良土」を開発した。最大の課題は軽石に含まれる塩分の除去だったが、貯水池の水に24時間浸すことでJIS規格に適合する水準まで低減することができた。福山商事のうるま市内の工場で保管から製造まで一括管理でき、実用化されれば軽石を計画的かつ大量に処分できるという。

 流動化改良土は、建設現場から出た汚泥などに水やセメントを加えた特殊な処理土。機材や人が入れないような地下空洞や、廃止管の埋め戻しなどに使われる。

 工場内の貯水池に12時間浸す作業を2回繰り返すことで、塩分をコンクリート骨材のJIS規格の0・01%以下に低減することができた。工場内で約2500平方メートルの保管場所も確保するため、大量の軽石を引き受け製造から出荷までを効率的に行えるという。

福山商事と南西環境研究所の関係者ら=7日、福山商事のうるま工場

 軽石は用途に合わせて10~40%添加し、1日当たり最大120立方メートルの製造が可能。塩分除去や粉砕などの工程が入る分コストが増え、価格は通常より約3割高い1立方メートル当たり1万5千~1万8500円(税抜き)となる見込み。福山商事企画開発部一課の吉味茂範係長は「軽石の利活用に対する貢献ができ、差別化した商品の新たな取り組みにもなる」と今後の公共事業などへの活用に期待した。南西環境研究所の大城政人常務は「施工性がよく、簡単で早い。SDGs実現の推進にもつながる」と語った。(當山幸都)