絶滅危惧種のジュゴンの食み跡、池間島で初確認 2カ所で複数、密集も


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池間島東部の海草藻場で確認されたジュゴンのものと思われる食み跡=2月28日(環境省提供)

 絶滅が危惧されているジュゴンのものと思われる海草藻場の食(は)み跡が宮古島市池間島で初めて確認されたことが分かった。環境省が5日、2021年度に実施した生息状況調査を発表した。食み跡が確認されたのは22年2月28日、池間島東部の水深約2メートルの海域。2カ所で複数確認され、密集している箇所もあった。

 環境省が実施している「ジュゴンと地域社会との共生推進委託業務」の21年度結果概要で公表された。漁業者による食み跡モニタリング調査などが報告されている。

 調査は21年12月~22年2月、本島北部3海域、宮古3海域、八重山7海域の計13海域で実施された。

 結果、本島北部3海域の古宇利、済井出、嘉陽では食み跡は確認されなかったが、宮古では池間島東部のほか、伊良部島佐和田、来間島東部の3海域すべて、八重山では西表島船浮湾、同白浜、黒島北部の3海域の計6海域で食み跡が確認された。

 いずれの海域でも個体は確認されなかった。ただ、調査とは別に、伊良部漁業協同組合所属の漁業者が21年8月17日、伊良部島佐和田沖でドローンで撮影したジュゴンの形に似た大型動物が確認されている。

 環境省は宮古、石垣・西表の先島諸島で食み跡や目撃情報が増えていることに「ジュゴンが先島諸島一帯の海域に生息している可能性が高い」と説明。今後も調査を続けるとともに、保全のために漁業者、地域との協力体制構築を進めていくとした。

(安里周悟)