玉城デニー知事が、沖縄の日本復帰50周年の節目に合わせて、過重負担を強いられている米軍基地に関する意見を記した「建議」と沖縄の将来の展望をまとめた「宣言」の二つの文書の作成を進めていることが9日、関係者への取材で分かった。県民や有識者から募った意見を反映させた両文書を、5月上旬にも公表する。建議は5月15日に沖縄と東京で開催する復帰式典の前に日米両政府に送付する予定だ。
関係者によると、県は1971年に琉球政府の屋良朝苗主席(当時)が、基地問題の解決を求めて日本政府に示した「復帰措置に関する建議書」(屋良建議書)と現状の比較検証を進めている。新たな建議は屋良建議書で示した状況と現状を対比させ、今も続く過重な基地負担の現実などを訴える。
宣言は基地のない平和な沖縄や持続可能な社会の構築など、未来の沖縄に向けた普遍的なメッセージを県内外に発信する。玉城知事は式典を国と共催の形で開催することを求めてきた経緯もあり、式典当日の初公表や建議だけを発信して対決姿勢を強めることを避けた形だ。
県幹部は「この50年間で基地問題の何が変わって、何が変わっていないのか。この辺りの落差について、県民が感じていることを全国に訴えていきたい」と話した。
(梅田正覚)