若手ドライバーの登竜門とされる自動車レース「全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権」(SFL)の、今季第1~3戦の各決勝が9、10の両日、静岡県の富士スピードウェイ(一周4563メートル)で行われた。昨季から参戦する県出身の平良響(コザ高出、Kuoモビリティ中京TOM’S)は第1、2戦で3位、第3戦で初の優勝を飾った。SFLで県出身者が頂点に立つのは初めて。
平良は3戦いずれもスタートダッシュに成功して上位に食い込んだ。今季のランキングで1位となった。次の第4~6戦は22~24日、三重県の鈴鹿サーキットで行われる。今季は9月までに全18戦を行い、総合王者を決める。
ゴールインした平良響は車体に登ってガッツポーズし、念願の初優勝に歓喜した。昨季のSFL参戦以降、各戦の最高順位は3位にとどまっていた。今回は得意のスタートダッシュに成功。県出身者初の快挙となる頂点まで一気に駆け上がった。
第3戦は3番手の位置でスタートしたが、好発進で先頭に食い込み第1コーナーで抜け出した。勢いをそのままに全15周を先頭で走り切った。第2戦の終了後の会見では「スタートで2台を抜いて優勝したい」と宣言しており、その言葉を実現した。栄冠を手に「自信を持って走ることができた」と手応えを語った。
第1、2戦は車のバランスが万全と言えず、第3戦の直前までエンジニアらと試行錯誤しながらセットアップを続けた。路面の状態などを考慮し、ステアリングの曲がり具合を0.5ミリ単位で調整。それらが本番で「どんぴしゃ」にはまり、バランスよく走れた。
これまで思うように結果が出せず「もがき苦しんだ1年」だったが、新シーズンに気持ちを切り替えて臨んだ。第1、2戦で所属のチームメイトが先に優勝し、その悔しさも糧とした。初優勝に安堵(あんど)しつつも「あと15戦、気を引き締めていきたい」と前を向いた。
(金良孝矢)