【うるま】伊計自治会は3月27日、昨年4月に3カ所の拝所が荒らされたことを受け、伊計島の自然や文化を保存するための「伊計島憲章」を制定した。玉城正則自治会長は「自然を壊さず、自然とともに生きることが基本。大切な聖域に興味本位で入らないでほしい」と訴えた。
昨年4月、拝所の貝がばらばらにされるなどの被害が出て、自治会が憲章制定に動き出した。同年7月、自治会の要請を受けた市教育委員会が拝所の入り口に立ち入り禁止の看板などを設置。自治会は昨年8月から今年2月まで4回にわたって専門家を招いたワークショップを開催した。
憲章の目的は第一条に「伊計島の誇りうる先祖から受け継いだ自然と文化の暮らしを美しく保つために、そして、伊計集落を『誰もが住みたくなる島』にすること」と記された。景観を大きく損なうような開発をしないという住民の義務や、聖域に無許可で侵入しないといった来島者の義務を示した。
島では1947年ごろ、全体の秩序を守るための罰金制度「字札ノ件」が存在した。刃物で木を切って根絶やしにしてはいけないといった決まりごとがあった。玉城自治会長は「島では全体や自然との調和を考えて生活する知恵があった」と話す。
県地域振興協会の山城定雄さんによると、86年の竹富島憲章を皮切りに、県内の自治体が憲章を制定するのは10例目。山城さんは「橋で便利になった一方、島に被害も出ている。地域で地域を守る大事な取り組みだ」と話した。
(古川峻)