「正直怖かった」家事や子育ての合間縫って…ヘイト阻止に参加する人たちの思い


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リーフレットやトルコギキョウの花を配り、市民にヘイトスピーチの危険や規制条例制定の必要性を訴える沖縄カウンターズのメンバー(左)=13日、那覇市役所前

 那覇市役所前で5年以上続いたという差別的言動(ヘイトスピーチ)を100週にわたり阻止してきたのは、仕事や子育て、介護など日常の合間を縫って集まった市井の人々だ。

 差別的言動を止めるよう求めると逆に個人攻撃を受ける危険もあり、抗議を続ける沖縄カウンターズの40代女性は「正直怖かった」と振り返った。年休を取得して参加する人など「差別をなくしたい」と願う個人の意識に頼る実態があり、実効性のある規制条例の早期制定を訴えた。

 初めて阻止した2020年5月20日からカウンター活動に参加する40代男性は「以前から排外主義的な発言が、ツイッターで多く見られるのが気になっていた。何かしないといけないと思っていた時に、ツイッターで呼び掛けがあり参加した」と語る。市役所前のヘイトスピーチが止まっていることには安堵(あんど)しつつ、市民の取り組みが100週も続いていることに「祝うことではない」と話す。「市民が自腹を切って来ている。本来は行政が食い止めるべきだ」と語り、阻止行動の開始から約2年がたつ中でも、条例が制定されていないことに疑問を投げ掛けた。

 この日は問題を伝えるリーフレットと共に、さまざまな色の県産の花トルコギキョウを配布した。色ごとに花言葉が違うことから、多様な人が受け入れられる社会の望みを託した。

 通りかかった市民からも、この場所で行われていたヘイトスピーチを疑問視していた声が聞かれた。リーフレットを受け取った上原尚子さん(37)は、ヘイトスピーチ団体が通りかかった中国人観光客に威圧的な態度でつきまとう場面を見たことがある。「通るのが嫌になる場所だった」と振り返った。「いろんな考えがあると思うが、だからといって攻撃していいわけではない。規制条例ができることで、相手を尊重して話し合いができる機会ができるといい」と期待を込めた。
 (知念征尚)

 


ヘイト阻止、市民の力で…那覇市役所前の活動100週に 願い込めトルコギキョウ配布