全国9割のシェアを誇る県産モズク。旬を迎えて収穫が進む一方、販売が伸び悩んでいる。県漁業協同組合連合会(県漁連)によると、例年なら4月中旬にはほぼ全てのモズクの販売に見通しが立っているが、今年は主な買い手の県外水産食品メーカーとの交渉がほとんど成約していないという。買う意思を示している企業もいるが、具体的な量は固まっておらず先行きは不透明だ。
新型コロナウイルス感染症の影響で全国的に外食産業が打撃を受けたことから、県外メーカーが昨年購入したモズクが、在庫として残っていることが原因という。
県漁連によると、県内の収穫量は3月末時点で約2900トンとなり、昨年同時期の約6500トンに比べ半減している。収穫量は20年が約2万2千トン、21年が約1万8千トンだったが、今年はさらに減少する可能性が高い。例年のように注文が入っていないため、価格も低下傾向にあるという。
うるま市の勝連半島は、県内モズク水揚げ量の約4割を占める。勝連漁業協同組合には、例年なら今の時期に数十件の注文が入っているが、今年は1件のみ。漁師1人当たり5キロの収穫制限を設けているが、売れ残った場合は冷凍保存の費用がかかるため、頭を抱えている。上原勇行組合長は「厳しい状況だ。生産者の生活が苦しくなるかもしれない」と不安を口にする。
県漁連は4月の第3日曜日のモズクの日に合わせ、テレビやラジオなどでアピールする。今年は初めて県外量販店にもポスターやのぼりを提供した。勝連漁協は凍結させない生モズクの販売を始めるなど、各関係者が販売促進へ工夫を凝らしている。県漁連は「今が旬のおいしいモズクを皆で食べてほしい」と呼び掛けている。 (古川峻)