「辺野喜ことば」を次代へ 沖縄県が本制作、区民らが協力 国頭


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発刊された本「語って 使おう しまくとぅば(ふぁーてぃ ちかーや しまふぅとうば)うにきむにー(辺野喜ことば)」

 【国頭】国頭村辺野喜区のしまくとぅばを収録した本「語って 使おう しまくとぅば(ふぁーてぃ ちかーや しまふぅとうば)うにきむにー(辺野喜ことば)」が3月27日、県文化観光スポーツ部から発行され、500部が同区へ納入された。制作に当たり、辺野喜ことばの話者として地元から山城榮辺野喜区長、金城茂さん(伊地在住・辺野喜出身)、東恩納寛さん(辺野喜在住)、山城光正さん(同)が協力した。

 本作りは、辺土名小学校でしまくとぅば部講師として活動している金城さんが、活動を通して知り合った県しまくとぅば普及センターの照屋敏恵チーフコーディネーターと交わした会話から実現した。金城さんが普段から使うしまくとぅばを聞いた照屋さんは、村内でも特徴のある辺野喜独特の言葉の言い回しやアクセントから、「しまくとぅば本作り」について提案と助言をしたという。

辺野喜ことば本づくり制作に携わった(左から)金城茂さん、山城榮区長、東恩納寛さんと、原稿執筆・構成を担当した宮城一春さん=3月30日、国頭村の辺野喜地区公民館事務所

 本ではあいさつや拝みの時に使う言葉など、標準語と比較した朱書きのしまくとぅばに、時折漫画も描かれて説明がなされ、分かりやすく表記されている。日常の会話やさまざまな場面の言葉など、45ページ・B6版の手頃な大きさで製本され、手軽に読むことができる。本書は、しまくとぅば普及センターのホームページでも見ることができ、地元住民が話す生の音声も聞くことができる。

 古くから伝わるしまくとぅばなどは、地元のお年寄りの宮城清さん(89)と東恩納ナツさん(89)の2人から聞き取り調査した。金城さんは「皆さんの協力で本ができあがり、ほっとした。生の声も録音してあるので、島の発音や方言をいつまでも残してほしい」と話した。
 (新城高仁通信員)