前町長が汚職で辞職…竹富町長選「クリーンな政治」前面に 有権者「政策具体性ない」


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町長不在の竹富町役場に掲げられた町長選の投票日を知らせる横断幕=12日午前、石垣市美崎町

 【竹富】西大舛高旬前町長の辞職に伴う竹富町長選は17日、投票日を迎える。現職町長が逮捕、起訴され、辞職するという前代未聞の事態による突然の町長選に、町民らは戸惑いを見せる。

 「町政の信頼回復を目指す」。町長選に立候補した元町教育委員会職員の前泊正人氏(44)と前町議の那根操氏(70)の2人はいずれも、クリーンな政治の実現を強く訴えている。だが政策面では、町西表島大原での町庁舎・多機能複合施設整備事業のあり方について見解が分かれている以外は、目立った対立軸がない。

 こうした状況に、町民からは政策に具体性がないとの不満も漏れる。

 町内で観光業を営む50代の男性は「町長選が現職町長の逮捕という出来事に端を発しているので、政治の透明性実現や信頼回復を掲げるのは分かる。だが観光が主要産業の町は、コロナ禍の影響を大きく受けている。経済対策など、候補者にはもう少ししっかりとした政策を訴えてほしい」と嘆く。

 また町内の20代の女性も「周りでは『誰を選んでも同じじゃないか』という人もいる」と明かす。

 ある陣営の幹部はこうした町民の声に「確かに争点が見えにくい選挙になっている」と認める。だが信頼回復が大きく問われる選挙になるのは仕方がなく、両候補が政治不信の払拭(ふっしょく)を掲げざるを得ないとも説明する。幹部は「町民の声を聞きながら政策の違いを説明していくしかない」と語り、選挙戦に苦慮している様子を見せた。

(西銘研志郎)