県議会総務企画委員会(又吉清儀委員長)が12日、開かれた。県議会に水難事故対策に関する請願を提出した一般社団法人沖縄ライフセービング協会の音野大志代表理事=写真=が参考人招致され、水難事故が増加する県内の現状を説明した。同協会と県、県警、第11管区海上保安本部、市町村を含めた水難事故対策の協議体設置を求めたほか、水難事故が多発する自然海岸でのパトロール体制の拡充に向けて予算措置を要望した。
音野代表理事が県警から得たデータをまとめると、県内の水難事故発生件数や死者数は2016~19年の間、いずれも全国ワースト3以内。17~21年の間、最も水難事故が起きた場所は監視員がいない自然海岸で、全体の75%を占める292件だった。11~20年の統計では県民の死者数は238人(63%)で、次いで観光客が123人(33%)、米軍関係者が15人(4%)だった。
さらに、米ハワイや豪州などでは年間通して自治体から給与が支払われる公務員のライフガードがいると説明。例えばハワイのオアフ島では自治体から年間24億円の予算措置がされていると紹介した。同協会試算では本島と石垣島の自然海岸のパトロール体制を構築するには年間4億円の予算が必要とした。
音野代表理事は「全国の中で、非常に不名誉な記録を持っている沖縄だが、『美ら海』の安全に対してほとんど策が講じられていない。このままでいいのかという思いがある」と語った。
(梅田正覚)