車載ネットワークの安全向上へ セキュア(那覇)と名古屋大が共同研究 評価ツール開発も視野


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 サイバーセキュリティー事業を展開するセキュアイノベーション(那覇市、栗田智明社長)はことし3月から、名古屋大学と車載ネットワークに関する共同研究を始めた。自動車の利便性向上へ、先端技術を活用した外部との通信が可能な機器が車両に搭載されるようになったが、セキュリティーに関する懸念も生じている。共同研究を通してネットワークの危険性に関する評価ツールの開発を視野に、自動車分野のセキュリティー技術の向上を目指す。

 セキュアイノベーションは、ネットワークカメラなどのIoT(モノのインターネット)機器を悪用したサイバー攻撃を防ぐための診断などを展開する。サービスで培った知見を他の分野で活用しようと、車載ネットワーク分野に注目した。

 近年はインターネットに接続する「コネクテッドカー(つながる車)」の開発へ自動車メーカー各社がしのぎを削る一方で、自動車に関する位置情報の漏えいや運転制御の乗っ取りなど事故につながる攻撃を受ける危険性も高まっている。

 サイバー攻撃を受けると、最悪の場合乗っている人や歩行者の命に関わる事故も想定される。より専門性の高い取り組みを進めるために、名古屋大学大学院情報学研究科の倉地亮特任准教授をアドバイザーに共同研究を行うことになった。研究は2022年3月から約1年間。評価ツールの開発やシンポジウムの開催で得られた成果を披露することで、より安全安心な車載ネットワークの構築に貢献したい考えだ。

 倉地氏は「われわれの持つ自動車分野での知見とセキュアイノベーションの高い技術力を組み合わせることで、自動車業界のサイバーセキュリティー強化を加速し、業界の発展に貢献したい」とコメントした。同社の担当者は「共同研究を通して運転者、歩行者の命を守る取り組みを進めたい」と意欲を語った。
 (小波津智也)