沖縄県は辺野古承認勧告の判断見送り 首相に対話を要求


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名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=3月17日、航空機より撮影

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古新基地建設の設計変更申請を巡り、沖縄県は20日、同日中までの承認を求めた斉藤鉄夫国土交通相の勧告に対し「裁決書の内容を精査した上で対応を検討する必要があり、20日までの承認判断ができない」とする回答書を同相宛に送付した。同時に辺野古新基地建設に関する対話を求める文書を岸田文雄首相宛てに送った。

 国交相は8日、設計変更不承認を不服とした沖縄防衛局の行政不服審査法に基づく審査請求を認め、県の不承認を取り消す裁決をした。同時に県に対し、裁決に基づいて20日までの承認を求める勧告を出した。

 県は設計変更を不承認とした県の行政処分を取り消す裁決の内容を期限内に精査できないことを理由に「承認することに対する判断を行うことはできない」とした。

 同時に玉城デニー知事名で、岸田氏宛に対話を求める文書も送った。その中で、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票で「反対の民意が圧倒的多数で明確に示されたことは、極めて重い」として、問題解決に向けて工事を中止し、県との対話に応じるよう訴えた。

 沖縄防衛局は2020年4月に設計変更を申請し、県は21年11月に地盤や環境の調査が不足していることなどを挙げ、不承認にした。県は勧告に従わず、承認しない見通し。

 国交相の勧告に法的拘束力はない。国側は対抗措置として、拘束力のある是正指示などを出すことが想定される。国交省担当者は本紙取材に「書面が届き次第、今後の対応を考えたい」として、当面は県の対応を待つ方針を明らかにした。(塚崎昇平まとめ)