復帰前後の沖縄、デジタルでよみがえる 8ミリ動画を解説 島ぜんぶでおーきな祭


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1972年5月15日に那覇市民会館で行われた復帰記念式典の映像を紹介する真喜屋力(左)と當間早志=16日、那覇市前島のよしもと沖縄花月

 「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」(同実行委員会主催)が16、17の両日、県内各地でアート展やソーシャルビジネスコンテストなど各種イベントを開催した。映画は、那覇市の桜坂劇場を中心に24作品、オンラインでは12作品を上映した。2日間で延べ1万8千人がイベントに参加し、配信コンテンツを視聴した。2009年から始まり、沖縄の春の風物詩となった同映画祭の様子を紹介する。(文・藤村謙吾、写真・又吉康秀)

 「デジタルで甦(よみがえ)る8ミリの沖縄」が16日、那覇市前島のよしもと沖縄花月で開催された。アーカイブ研究所の真喜屋力とシネマラボ突貫小僧の當間早志が、日本復帰前後の沖縄を映した10本以上の動画を、グーグルマップを活用した撮影場所の解説と共に紹介した。

 1972年5月15日、那覇市民会館で行われた復帰記念式典を会館の外から撮影した映像紹介から始まった。雨風の影響でポールに絡みつく日本国旗や、主権回復を訴えるデモ隊、式典を終えて会館の外でひと息つく参加者など、貴重な1日を市井の目で撮影した映像が観客を引きつけた。

 72年5月5日撮影の那覇港の映像には、米国民政府発行の「日本渡航証明書」を手に、ハイカラな姿で本土に向かうと思われる船に乗る人々が映し出された。

 国際通りで71年10月に撮影したパレードの映像では、真喜屋と當間が今は国際通りからなくなった「ヤナギの木」に言及。「いつごろまではあったのか」と問い掛けると、客席から回答があり、牧志の複合施設前に、5年ほど前まであったことが判明した。来場者も一体となり、往事の人々や建物の様子を、総天然色の映像で楽しんだ。
 (藤村謙吾)