「十九の春」や「芭蕉布」名盤を聴きトークも 沖縄音楽の魅力体感 島ぜんぶでおーきな祭


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舞台あいさつに登壇した(前列左から)宮平貴子監督、宮城さつき、眞境名正憲、(後列左から)宇座仁一、徳田泰樹、大野順美プロデューサー=16日、那覇市の桜坂劇場

 「島ぜんぶでおーきな祭 第14回沖縄国際映画祭」(同実行委員会主催)が16、17の両日、県内各地でアート展やソーシャルビジネスコンテストなど各種イベントを開催した。映画は、那覇市の桜坂劇場を中心に24作品、オンラインでは12作品を上映した。2日間で延べ1万8千人がイベントに参加し、配信コンテンツを視聴した。2009年から始まり、沖縄の春の風物詩となった同映画祭の様子を紹介する。(文・藤村謙吾、写真・又吉康秀)

 「シネマ組踊『孝行の巻』」(宮平貴子監督)の上映が16日、那覇市の桜坂劇場であった。沖縄が世界に誇る国の重要無形文化財組踊について、誕生の背景や特徴を紹介し、脂が乗った中堅・若手の実演家による「孝行の巻」を収録した。解説では、沖縄の歴史や芸能に関する用語を柔らかく言い換え、組踊では唱えに字幕を付けるなど、初めて組踊を見る人も楽しめる作品になっている。

 左右だけでなく上からも撮影し、劇場での舞台鑑賞では見られない立方の表情を捉える。立方の呼吸も伝わる映像は、組踊の見巧者(みごうしゃ)にも新たな発見があり、楽しめる。

 宮平監督は「約300年前に玉城朝薫がどういう思いで組踊を作ったのかを考え、そして舞台芸術ならではの美しさを伝えたいと思った」と振り返った。組踊を分かりやすく伝えることに心血を注いだことを語り、客席に感想を問い掛けると、観客は大きな拍手を返し、作品をたたえた。
 (藤村謙吾)