復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月23日「強制使用の告示、第2の〝土地闘争〟は必至」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月23日の琉球新報1面トップは、「対米請求権の国肩代わり強調/立法院総括質問終わる/主席、地籍の整備も/与党〝屋良行政〟を評価」との見出しで、立法院での補正予算アンに対する総括質問のやりとりの様子を伝えている。

 「事前協議、話し合う用意/駐日米大使が語る/安保の重要変更は除く」との見出しで、着任後の初会見をしたインガソル新駐日米大使の発言を紹介している。国会で問題視されている、岩国基地からのベトナムへの出撃が事前協議の対象とされていない点について「米軍のやっていることは、安保条約の範囲内の行動で、今後とも変わりはない」と発言要旨を掲載している。

 復帰後も米軍基地と自衛隊基地を使用続けるために政府が公用地暫定使用法を適用することに関連して「27日強制使用の告示/第2の〝土地闘争〟は必至」との見出しで、政府方針に地元から反対する動きがあることを伝えている。記事では、公用地暫定使用法について「復帰後の沖縄米軍・自衛隊用地を〝強制使用〟するため」と指摘し「『告示』によって政府は、五月十五日の復帰日以降〝反戦地主〟らが土地の再提供は拒否しても〝強制使用権〟を発動し、軍用地を確保出来ることになる」と説明している。これに対して沖縄の「反戦地主会」らの動向として「公用地法は違憲の疑いがある―との立場から、法廷闘争などで対抗する構えをみせており、本土復帰を間近に控えた現地沖縄の土地闘争は『告示』をきっかけに一段と深刻化しそうだ」と展望している。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。