沖縄芸能発信を継承 国立劇場おきなわ新旧芸術監督対談 嘉数氏「一心同体で応援」金城氏「常に一手先の策を」


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 (左から)嘉数道彦氏、金城真次氏

 国立劇場おきなわの芸術監督に1日、玉城流扇寿会教師の金城真次氏が就任した。2013年4月から22年3月まで同劇場の芸術監督を務めた嘉数道彦氏の後任でバトンを受け取った。新旧芸術監督に、互いの印象や芸術監督の心得を聞いた。(聞き手・藤村謙吾)

 ―国立劇場おきなわ主催公演で共に舞台に関わり、沖縄芝居研究会の公演などでよく共演している。互いの印象は。

 金城氏 一言で言うと「弁が立つ」方。劇場主催公演の解説では、ついつい話に引き込まれる。舞台上だけでなく、私たち実演家に出演依頼をするときも、「はい」と了承してしまう話し方をする。一方、道彦さんは、自身が出演される舞台の稽古中は、役に入るとき以外はほとんどお話しされない。先輩、後輩の姿をしっかり見ている。

 芝居では親子役などで共演することが多いが、背中で芸を勉強させてもらっている。共演していて、どこか安心感を覚える。

 嘉数氏 真次さんと初めて同じ舞台に立ったのは、おそらく2004年3月の(国立)劇場開場記念公演だろう(「真珠道」の村人役に嘉数、「万歳敵討」のきやうちやこ持ちに金城が出演)。特によく一緒にいて酒を飲むような関係ではないが、舞台で私も安心感を覚える、歯車のがっちり合う人。同じ思いだと分かりうれしい。真次さんは、4歳ころからテレビのCMや舞台に出ていて、当時はうらやましく思っていた。

 ―嘉数氏は芸術監督の日々を振り返り何を思うか。

 嘉数 劇場に育ててもらった。国立劇場おきなわの最初の企画制作課長・大城学さん、2009年から芸術監督を務めた幸喜良秀さんらが築き上げてきた公演のスタイルを基に、皆さんの力を借り続けてきた。周囲に恵まれ、県外や海外での公演、劇場の開場10周年、15周年、組踊誕生300年などの節目に、いろいろな形で、芸能を発信できた。また、20年にこれまで企画制作課長を兼任していた芸術監督が、専属になったことも大きかった。

 ―金城氏は今後どう職務に励みたいか。

 金城 (新型コロナウイルス感染症の影響で)公演がこの先どうなるか、確実なものはない。一手先を常に考えて、劇場に足を運んでくださるお客さまに良い芸能を提供できるよう策を練りたい。ことしは組踊が国の重要無形文化財に指定されて50年を迎える。50年前にあった出来事を、私たち世代、それよりも若い世代に良い組踊の舞台を提供することで、知ってもらえるようにしたい。

 ―嘉数氏から金城氏に激励のメッセージを。

 嘉数 真次さんは、これまでも自分で公演を企画・プロデュースするなど経験豊富で、技能も知識もそろった方だ。非常に心強い。良い公演を作りたいという思いは、監督はもとより、実演家にとっても共通の思いだ。一人で背負わず、みなさんと一緒に良い舞台作りを目指して、劇場を盛り上げてほしい。一心同体の心持ちで、みなで応援をしていきたい。