「戦争繰り返さず」芳魂之塔で平和祈願祭 伊江、沖縄戦戦没者を悼む


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平和祈願祭に参列した大城和子さんと大城初枝さん(右)=21日、伊江村西江前の芳魂之塔

 【伊江】77年前の1945年4月16日から21日の6日間、伊江島は激しい空爆と地上戦が繰り返され、住民と軍人を合わせ3500人の命が失われた。その犠牲者を祭る芳魂之塔で、伊江島の戦闘が終結した4月21日、み霊を慰霊し恒久平和を誓う平和祈願祭が行われた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、村内の遺族や関係者のみが出席するなど規模を縮小した。午後1時、参列者はフェリーの汽笛を合図に黙とうをささげた。その後、献花台へ花を手向け悲惨な戦争を繰り返さないよう平和を祈った。

 島袋秀幸村長は「私たちは平和を大切にする思いを次世代に引き継ぎ、子や孫が安心・安全に暮らせる、笑顔あふれる豊かな島の実現に向けて不断の努力を続けます。命の尊さ、平和の有り難さを子々孫々に伝え、人類普遍の願いである恒久平和を誓います」と平和希求の言葉を述べた。

 参列した大城初枝さん(84)は、いとこや親戚などを亡くした。「戦時中は今帰仁に疎開していて、戦後帰ってきたら伊江島は焼け野原で何も残っていなかった。家があった跡地におばさんと植えた野菊が咲いていた。今でもそれをおばさんの形見だと思って大事に育てている」と振り返った。大城さんはロシアのウクライナ侵攻にも触れ「当時を思い出し心が痛くなり、見ることができない。2度と戦争はあってはならない」と涙を浮かべた。

 芳魂之塔の側にある伊江中学校(玉城学校長)の生徒会役員も献花に訪れ、み霊に感謝し安らかな眠りを祈り平和の尊さを新たにした。
 (知念光江通信員)