特殊病害虫「ミカンコミバエ」定着防げ 沖縄県職員ら作業


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ミカンコミバエ防除のために、街路樹の枝に誘殺板を取り付ける金城智さん=28日、那覇市の奥武山公園

 1986年に沖縄県内全域で根絶した特殊病害虫のミカンコミバエが近年急増している問題で、県や那覇市、JAおきなわなどの職員47人は28日、奥武山公園を拠点に周辺地域で初動防除を実施した。14日に同地周辺であった果実調査で採取した果実から幼虫を発見したため、周辺の草木に農薬を散布したり2900枚の誘殺板を設置したりした。

 ミカンコミバエは果実の中に卵を産みつけ、腐らせる。寄生するのはマンゴーやかんきつ類など幅広く、定着してまん延化すると植物防疫法に基づく緊急防除として県外に果実類を出荷できなくなる可能性もある。

 県内では近年、確認事例が増えており、2021年度は根絶後最多となる341匹が捕獲され、寄生果実も14市町村で確認されている。

 県病害虫防除技術センター非常勤の金城智さんは28日、園内を歩き周りながら雄の成虫の誘引物質と殺虫剤を染みこませた誘殺板を街路樹に取り付ける作業を行った。「虫は人けのない日陰を好むため、特に念入りに確認し板を取り付けている」と述べた。

 県営農支援課農業環境班の大田守也班長は「定着を防ぐには初期防除が重要だ。各家庭でも庭先の落下果実を放置しないなど、産卵場所を作らないよう意識してほしい」と協力を呼び掛けた。
  (当銘千絵)