1992年に公開し沖縄ブームの火付け役として話題を呼んだ映画「パイナップルツアーズ」が桜坂劇場で5月7日から、30年ぶりに上映される。デジタル技術で鮮明に修復されたデジタルリマスター版を上映する。同映画は沖縄にある架空の島を舞台に、米軍の不発弾を巡って繰り広げられる3本の物語が、3人の監督によってオムニバス形式で描かれる。中江裕司監督と真喜屋力監督、上映の発起人の代島治彦プロデューサーに思いを聞いた。(聞き手 田中芳)
―制作で感じたことは。
中江監督 物語はフィクションだが、(当時20代の)僕ら監督や役者が感じていた空気感や、ヤマト(本土)への反発、『本当の沖縄はこうじゃない』ということも含めて、あらゆることの空気感が詰まったドキュメンタリーでもある。言葉にしづらいが(時代の)転換期というか強いものはあった。
―亡くなった音楽家の照屋林助と女優の平良とみが全話に出演する。
代島プロデューサー 2人の存在はこの映画、沖縄にとってとても大きかった。林助さんととみさんの映画でもある。2人の存在をもう一度よみがえらせたかった。沖縄は政治や社会問題がテーマになりやすいが、それとはまた違う、笑い飛ばしたような沖縄の芸能というか、生きる力、(つらいときも)面白がるというような、そういう時代もあったということを思い出してよという気持ちがあった。
―30年ぶりの上映だ。
真喜屋監督 映画は僕や監督の當間早志にとって大学卒業後すぐに制作したスタート地点となる重要な作品だ。こうやってまた新しい世代に見てもらえるのがすごく楽しみだ。世代を超えて見てもらえること、デジタル化で映画が時代を超えて上映できることが、とてもうれしい。
映画の出演者はほかに兼島麗子、新良幸人、富田めぐみ、津波信一、藤木勇人ら。上映スケジュールなど詳細は、桜坂劇場の公式サイトで。