大型連休、沖縄観光は回復 コロナ禍で人、車不足、県民の県内宿泊は昨年並み


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観光バスから下車後、国際通りへ向かう修学旅行生ら=28日午後0時半ごろ、那覇市

 29日から大型連休が始まった。県内の新型コロナウイルス感染状況は高止まりしているが、県はまん延防止等重点措置の適用は見送り、3年ぶりに社会、経済的な制限がない大型連休となっている。航空各社の沖縄発着便の予約数は前年比40・9%増と観光需要が回復しつつあるが、レンタカーは不足し、ホテルも人手不足となっている。

 航空各社は22日に大型連休中の予約状況を発表した。JAL、ANAの予約数は発表時から特に変化はないが、JTAの離島路線は多少予約が増えいてるという。

 スカイマークは先週より増加。一部の路線は満席となっている。ピーチも先週の発表より若干増加しており、直前になって旅行を決めた人は、価格の安い格安航空会社(LCC)を選んだことがうかがえる。

 リゾートホテル

 リゾートホテルは軒並み7~8割程度の予約となっており、久しぶりのにぎわいを見せそうだ。ただ懸念もある。この2年間需要が大きく落ち込んだホテル業界は従業員の休業させるなど、人員を調整することで持ちこたえてきた。本島北部のリゾートホテルは「正直、人は足りない。いろんな部署からの応援が必要な状況」と明かす。

 レンタカー不足も深刻だ。県レンタカー協会によると、一時、観光需要が戻った昨年末からレンタカーの予約が取りづらい状況が続いており、この大型連休中の予約も1月には満車となった社もある。

 不足の原因はコロナ禍での減車。コロナ前の2019年5月は約2万5千台あったが、今年3月現在1万5千台と1万台減った。協会は「大型連休は観光客がだいぶ戻ると想定しているが、連休後また需要が減る可能性もある。2年間この繰り返し。各社とも怖がって増車に踏み切れない」と状況を説明する。

 旅行会社ではレンタカーの予約が取れないため、旅行キャンセルの動きもあるという。旅行会社からのプランで観光バスやハイヤー利用の提案もしているが、レンタカー需要が根強くなかなか結びついていない。

 補助のある宿泊

 県民向け宿泊を扱う予約サイト「ちゅらとく」によると、県民の県内宿泊予約は昨年並み。県外からの観光客が回復基調にあり、県民向けプランが少ないことや、県民割「おきなわ彩発見」のクーポン販売が中止されていることが大きいという。

 担当者は「補助がある宿泊が当たり前になっている。(観光客が減る)連休後を考えると、『彩発見』の早期の販売再開が必要だ」と指摘した。

 28日に県経済団体会議からワクチン接種推進についての要請を受けた池田竹州副知事は「感染が落ち着かないと『彩発見』を再開できない。連休後に感染が急増することにないよう押さえ込み、経済の再生に取り組みたい」と話した。
 (玉城江梨子、與那覇智早)