ウクライナでの戦争が事実上の「世界大戦」の様相を見せているので、有権者の安心・安全に真剣に向き合わなければならない各市町村長は、これまで以上に「憲法9条」改定の是非を検討したはずだ。2019年と22年調査を比較して「改定の必要はない」との回答が減少しているのは、ロシアのウクライナ軍事侵攻を目前にして、80年代の「ソ連脅威論」と、セットだった再軍備を当然視する「強盗戸締まり論」の現代版が日本を席巻している反映だろう。
だが、77年前の凄惨(せいさん)な沖縄戦をいまこそ思い起こそう。連日連夜、テレビが伝えるウクライナの惨状と比較にならないほど激戦場化し、3カ月余もそれが続いたことを。「急迫不正の主権侵害」があっても、「自衛隊は最前線の最も苛烈(かれつ)な局面を担当するが、国民すべてが強固な抵抗意志をもたねばならない、自衛隊は国民の生命、財産を守るものではない」と元自衛隊制服組トップは説いている。
戦後、凶暴な米軍の土地収奪に対しても、無抵抗の抵抗を貫いた「命どぅ宝」の精神を金科玉条にしたい。
(沖国大名誉教授、平和学)