「津波犠牲者の捜索が慰霊に」ガマフヤー具志堅さん、福島で講演


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木村汐凪さんの捜索時の写真を背に講演する具志堅隆松さん=4日午後、福島県大熊町

 沖縄戦の遺骨収集を続ける那覇市の市民団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さん(68)が4日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した福島県大熊町で講演した。津波で犠牲になった同町の木村汐凪さん=当時(7)=の捜索に協力しており「(捜索で)犠牲者に近づこうとする気持ちと行動自体が慰霊だ」と語った。

 具志堅さんは、沖縄戦の激戦地では戦後77年の今も、日本軍の陣地跡やガマ(自然壕(ごう))から遺骨や遺品が出てくると説明し「遺族の元に返したい」と強調。大熊町でも同じ気持ちで向き合っていると述べた。

 第1原発の立地する大熊町は一時全町避難し、汐凪さんの自宅周辺は今も避難区域。遺骨は一部しか見つかっていない。

 父紀夫さん(56)=福島県いわき市に避難=は自主捜索を続けており、1月に具志堅さんと共に汐凪さんとみられる遺骨を発見した。交流を通じて沖縄での遺骨収集にも同行しており「沖縄のことを全然知らなかった。大熊だけでなく、他の不条理がある場所のことも知っていきたい」と講演会で話した。
(共同通信)