沖縄の基地負担「現状のままで良い」県民調査と大きな隔たり<沖縄復帰50年・全国世論調査>


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 「基地のない平和な島」を望み日本に復帰した沖縄。半世紀を経ても米軍施設の集中は解消されず、経済格差も影を落とす。世論調査の結果を見ると、願いが十分に届いているとはいえない。

 共同通信社は全国調査と同時期に、沖縄県の有権者だけを対象にした世論調査を実施し、同じ質問を設けて意識の違いを探った。沖縄の重い基地負担を巡る回答の比較を通じて、「基地の島」ならではの県民の切実さがにじんだ。経済格差の捉え方の違いも際立った。

 「沖縄の米軍基地の一部を、他の都道府県で引き取るべきだという意見があります。あなたは、どう思いますか」。進まない基地の整理縮小に提唱された「基地引き取り論」を尋ねた。

 県民調査は「賛成」(38%)、「どちらかといえば賛成」(37%)の計75%で、4人に3人が賛同した。全国調査はそれぞれ15%と43%。基地集中の解消を願う県民の強い思いが見て取れた。

 基地負担が他の都道府県と比べ「不平等」と思う人は「どちらかといえば」を含め、県民調査は計83%、全国調査は計79%とほぼ同じだった。ただ内訳をみると、県民調査では「不平等」が53%と半数を超えた。

 全国調査は集中する基地に関しても「大きく減らすべきだ」が51%で、58%だった県民調査とともに過半を占めた。一方で「現状のままでよい」も40%に達し、県民調査の26%と14ポイントの開きがあった。県民の14%が支持した「全面撤去するべきだ」は全国では6%にとどまった。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡っては2019年の県民投票で反対が7割を超えた。その後も工事を続ける政府の姿勢を、全国調査は64%が「支持しない」と回答。県民調査は67%と、ともに批判的だった。

 しかし、代案では違いが目立った。住宅や学校が周囲に密集し「世界一危険な米軍基地」とも称される普天間飛行場。普天間を「引き続き使用」が県民調査は5%だが、全国調査は20%に上った。名護市以外の県内移設も県民調査ではわずか3%だが、全国では9%と1割に迫った。

 基地問題以上に、県民調査と開きがあったのは経済格差に対する認識だ。沖縄県は1人当たり県民所得が全国最下位の状況が続いている。

 県民調査では93%と圧倒的多数が他の都道府県との間に格差が「あると思う」と回答。全国調査では53%にとどまり、「思わない」の47%と意見が割れた。

 格差の認識は基地問題の見方にも波及。全国調査で格差が「あると思う」と答えた人の42%は、基地負担が「不平等」と回答。「思わない」人より17ポイント多かった。
(共同通信)