遺物の物語、細やかに シルクロード展で吉村氏が講演


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これまで発掘してきた遺物が持つストーリーなどについて語る吉村作治氏=7日、那覇市の県立博物館・美術館

 沖縄県立博物館・美術館で開催中の「悠久のシルクロード展」(主催・沖縄美ら島財団、琉球新報社、宣伝)の総監修を務める考古学者の吉村作治さんによる講演会が7日、同所で開かれた。早稲田大学在学中の1966年にエジプトでの発掘調査を始めた吉村さんは現地に赴くまでの苦労話や自身が発掘した遺物が持つ「ストーリー」などについてユーモアを交えながら語った。

 50年以上におよぶ発掘調査で、「魚の丘遺跡」の発見や200体のミイラ発掘などの足跡を残してきた吉村さんが最初に発掘したのが、化粧用パレットと象牙でできた化粧棒(マスカラ棒)だ。

 吉村氏は化粧棒について「位の高い人が持っていた」と指摘。その上で「若い青年と美しい女性が朝早くデートを楽しんでいた。それを察知した女性の父親が来て、慌てた娘は化粧棒を捨てて逃げた。それ以外考えられない」と断言し、発見者として考えた象牙棒が持つ物語を披露した。

 古代エジプトにおける化粧の概念については「お祭りなど非日常にするものであり、悪魔よけのためでもあった。女性が恋をするのも非日常であった」と語った。

 「悠久のシルクロード展」の開催は8日まで。開館時間は午前9時から午後8時。問い合わせは沖縄県立博物館・美術館(電話)098(941)8200。

(吉田健一)