【東京】政府は10日、2022年度から今後10年間の沖縄振興の方向性を位置付ける「沖縄振興基本方針」を決定した。沖縄振興審議会(会長・高橋進日本総合研究所名誉理事長)の答申を受けた岸田文雄首相が同日午前の閣議で報告した。
西銘恒三郎沖縄担当相は同日の閣議後会見で「沖縄の自立的発展と豊かな住民生活が実現されるよう沖縄振興に全力で取り組む」と述べた。基本方針の決定を受け、県は基本計画の策定を進める。
上京中の玉城デニー知事は同日、都内で取材に応じ、15日に行われる沖縄の日本復帰50年の記念式典までに基本計画をまとめた上で、「手交する場面を設定させていただきたい」として沖縄の式典会場で岸田首相に直接手渡す意向を示した。
基本方針は、これまで5次にわたった沖縄振興で解消されなかった課題として「1人当たり県民所得の低さ」や「子どもの貧困」などを挙げた。
基本方針は、今後10年間の沖縄振興の方向について「民間主導の自立型経済の発展」を目指すとし、地理的にアジア諸国に近接することなどの「沖縄の優位性」を生かした振興策を実施するとした。
安全保障上の離島の役割についても明記し、「施行後5年以内の検討・見直し」に触れた一方で、第5次振計の基本方針に盛り込まれた「沖縄の自主性を最大限に尊重」との文言は削除した。
4月施行の改正沖縄振興特別措置法を踏まえ「グリーン社会への移行」「デジタルトランスフォーメーション」を推進する施策の強化を打ち出し、産業競争力の強化、県内企業の「稼ぐ力」向上を図るとした。
施策全体の「エビデンスに基づく施策の展開・検証」の必要性も強調。
一括交付金については、「適時に点検・評価」を行うとし、県や自治体に「事業の選択と集中」を図るよう求めた。
(安里洋輔)