二人芝居で名作「島口説」を熱演 戦中戦後の沖縄描く 13日から東京でも上演


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「島口説」で米統治下の沖縄を演じる城間やよいさん(左)と知花小百合さん=6日、那覇市のひめゆりピースホール

 沖縄の日本復帰50年企画として、演劇「島口説(しまくどぅち)」(脚本=謝名元慶福さん、脚色・演出=藤井ごうさん)が6~8日、那覇市のひめゆりピースホールで上演された。1979年に北島角子さんの一人芝居として発表された名作を、城間やよいさんと知花小百合さんによる二人芝居で上演した。戦中戦後をたくましく生きた人々の姿が、現在にも通じる普遍性を持って描かれた。

 舞台はとある民謡酒場。主人公スミ子が観光客に「私の話を聞かないと本当の沖縄は分かりませんよ」と半生を語り出す。島の人々の生き生きとした暮らしや離島苦、沖縄戦、米軍による土地接収などを泣き笑いの物語で表現した。復帰前を知らない世代が増えた今、スミ子の言葉は県民にも向けられているかのよう。

 最後の場面ではカチャーシーを踊る中、米軍機の爆音が響く。変わらぬ現実を突き付けつつ、県民を鼓舞するようだった。

 城間さんは「『復帰運動は生きるためのものだった』というせりふがあるが、今の社会でもみんなが声を上げるのは生きるためだ」と指摘。ウクライナ侵攻などに触れ「沖縄だけでなく世界共通の問題が描かれている。『命どぅ宝』の思いを共有したい」と話した。

 13~20日(17日は休演)には東京都のR’Sアートコートで上演する。詳細はエーシーオー沖縄のホームページまたは(電話)098(943)1357。
 (伊佐尚記)