沖縄の日本復帰50年企画として、演劇「島口説(しまくどぅち)」(脚本=謝名元慶福さん、脚色・演出=藤井ごうさん)が6~8日、那覇市のひめゆりピースホールで上演された。1979年に北島角子さんの一人芝居として発表された名作を、城間やよいさんと知花小百合さんによる二人芝居で上演した。戦中戦後をたくましく生きた人々の姿が、現在にも通じる普遍性を持って描かれた。
舞台はとある民謡酒場。主人公スミ子が観光客に「私の話を聞かないと本当の沖縄は分かりませんよ」と半生を語り出す。島の人々の生き生きとした暮らしや離島苦、沖縄戦、米軍による土地接収などを泣き笑いの物語で表現した。復帰前を知らない世代が増えた今、スミ子の言葉は県民にも向けられているかのよう。
最後の場面ではカチャーシーを踊る中、米軍機の爆音が響く。変わらぬ現実を突き付けつつ、県民を鼓舞するようだった。
城間さんは「『復帰運動は生きるためのものだった』というせりふがあるが、今の社会でもみんなが声を上げるのは生きるためだ」と指摘。ウクライナ侵攻などに触れ「沖縄だけでなく世界共通の問題が描かれている。『命どぅ宝』の思いを共有したい」と話した。
13~20日(17日は休演)には東京都のR’Sアートコートで上演する。詳細はエーシーオー沖縄のホームページまたは(電話)098(943)1357。
(伊佐尚記)