ソフトバンクの東浜巨投手(31)が11日、ペイペイドームで行われた西武7回戦でプロ野球史上84人目、通算95度目の無安打無得点試合を達成した。4月10日にロッテの佐々木朗希投手が完全試合を記録したのに続く快挙で、パ・リーグでは30人目(31度目)。球団では2019年の千賀滉大投手以来で3人目。沖縄県出身者では初となった。打者27人に対して2四球を与えただけで、150キロ前後の直球を軸に97球で西武打線を封じた。二回と五回に四球で走者を許すも併殺で切り抜けるなど、打たせて取る投球が光った。アウトの内訳は三振6、内野ゴロ14(併殺2)、内野飛球4(ライナー1、邪飛1含む)、外野飛球1だった。沖縄尚学高から亜大を経て13年にドラフト1位で入団した右投手。17年には16勝を挙げ最多勝を獲得した。通算成績は57勝30敗。
ソフトバンクの東浜は最後の打者を追い込むと甲斐のサインに2度首を振った。97球目に選んだのは150キロの直球。打ち返されたが、二塁手の三森がカバーして最後のアウトを取った。沖縄出身で初めての偉業を成し遂げたヒーローは両手を掲げ「まさか自分ができるとは」と、満面の笑みを浮かべた。
一回から151キロを記録した直球を武器にテンポ良くアウトを重ねた。関門は記録達成が近づいてきた八回だった。先頭だったリーグ最多14本塁打の山川には、直球ではなくカットボールでバットの芯を外して二ゴロ。続く強打者中村もバットを折る遊ゴロとし、巧打者の栗山は「僕の代名詞」のシンカーで二ゴロに打ち取り「変化球を操れて、要所の真っすぐも良かった」と汗を拭った。今季に懸ける思いは、自主トレーニングから垣間見えた。例年行う出身地ではなく、福岡県筑後市のファーム施設で筋力強化に励んだ。18年以来の完投を目指し「僕は100球を超えると力が落ちる。全力でいきつつ8の力で10の力を出す」と、省エネ投球に活路を見いだした。努力は目標から大きく上回る格好で花開いた。18日には那覇市での西武戦に登板予定。「頑張っている姿を見せれば、沖縄県民の方を勇気づけられる。より一層気を引き締めていきたい」。再び勇姿を届ける気構えだ。 (大淵)