沖縄のベストソング第1位は?読者が選んだ歌ランキング アーティストインタビューも


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 昭和初期ごろに生まれた沖縄新民謡、戦後の米統治下で磨かれた沖縄ジャズ。復帰を控え本土からの注目が集まった1970年代は、沖縄ロックや沖縄フォークのヒット作が生まれた。近年の沖縄ポップスに至るまで、沖縄の音楽は定期的に本土に旋風(せんぷう)を起こしている。日本復帰の荒波の中、島の歴史を踏まえ、時に本土と異なる言葉やリズムで県民の心情や沖縄の風情を紡いだ「沖縄の歌」は、人々を勇気づけてきた。復帰以後の沖縄の歌を読者の投票で振り返る。(藤村謙吾、田中芳)


読者が選ぶベストソング 1位はBEGIN 「島人ぬ宝」

 琉球新報は4月9日から15日までの約1週間、沖縄の日本復帰から今年で50年となるのを機に、読者に好きな楽曲3曲を投票してもらう「沖縄の歌ベストソング」のアンケートを実施した。ウェブで470件、はがきなどで31件の回答があり、有効回答数は1114票で、235曲、80のアーティストに投票があった。1位にBEGINの「島人ぬ宝」(90票)、2位はTHE BOOMの「島唄」(68票)、3位にBEGIN/夏川りみの「涙そうそう」(作詞・森山良子、曲・BEGIN、49票)が選ばれた。

 アーティスト別ランキングは、1位が「島人ぬ宝」や「三線の花」、「オジー自慢のオリオンビール」など15曲の回答があったBEGIN(217票)。2位が「ドゥーチュイムニー」(4位、47票)や「沖縄は混血児」など29曲の回答があった佐渡山豊(101票)。3位が「島唄」や「ひゃくまんつぶの涙」など4曲の回答があったTHE BOOMだった。

 「島人ぬ宝」には、「沖縄の人々の大切なものが詰まっていて大好き」(岐阜県、50代女性)、「県外で働いていた時に励ましてもらった」(沖縄市、50代女性)、「沖縄県民で歌えない人はいないと思うくらいの名曲」(うるま市、30代女性)など熱烈な曲への思いが寄せられた。

 「島唄」には、「この曲がきっかけで、沖縄が好きになり移住した」(沖縄市、40代女性)、「この曲のおかげで沖縄の音楽が見直され、沖縄のアーティストが多数全国で活躍し、三線を弾く若者・子どもたちが増えた」(宜野湾市、50代女性)など、沖縄音楽の魅力をいち早く本土に伝えた曲として支持を集めた。

 アンケートはウェブと郵送で受け付け10代から70代が回答、年代別では50代が29・5%で最も多く、40代が21・7%、60代が18・7%と続いた。


「独り言」は死ぬまで 佐渡山豊さん

佐渡山豊さん

 「ドゥーチュイムニー」が4位にランクインした佐渡山豊さんは「独り言が、なぜこんなに票を集めたのか。歌が一人歩きするとはよく言うが、一人歩きして、沖縄の人たちの『総論』になったのかもしれないな」と穏やかに話す。

 「ドゥーチュイムニー」は、うちなーぐちも用いて、人間の普遍的な心情を歌う。レコード「沖縄フォーク村」(1972年)に収録した際、既に25番まであった歌詞は、現在では80番まで増えた。

 佐渡山さんは「曲は未完成。曲作りは僕が死ぬまで続くんじゃないかな」とほほ笑んだ。

「ドゥーチュイムニー」が収録された「沖縄フォーク村」(左)と「ドゥーチュイムニー」のLPレコード

命への共感うれしい 古謝美佐子さん

古謝美佐子さん

 古謝美佐子さんが作詞を手掛け1997年にリリースした「童神(わらびがみ)」(佐原一哉作曲)は6位にランクインした。歌詞には、赤子をあやす母親の愛が描かれる。歌手の夏川りみさんは2003年に同曲をカバーし多くの票数を集めた。

 NHKの連続ドラマ「ちゅらさん」(2001年)では劇中の挿入歌としても使用された。

 古謝さんは「命の大切さ、誕生の喜びを歌に残せた。聞いている皆さんが同じように感じて選んでくれたというのは、唄者として最高にうれしい。たくさんの方がカバーしてくれたおかげで曲が広がった」と語った。


平和願い歌い続ける 宮沢和史さん

THE BOOM「島唄」のジャケット写真

 ロックバンド「THE BOOM(ザ・ブーム)」の「島唄」が2位にランクインした。沖縄戦を伝える歌として生まれた。92年に発表し、翌年に全国発売されると、150万枚以上を売り上げる大ヒットを記録した。アルゼンチン歌手のカバーを契機に国内外で同曲が広まった。

 歌詞は平和を祈る鎮魂の思いを込めた。作詞・作曲を担当した宮沢和史さんは「島唄を発表して今年でちょうど30年…。長い間歌い続け、長い間皆さんに愛され、こうやって沖縄の歌の一つに選んでいただけたことを誇りに思います。これからも長く歌い続けます。沖縄の恒久の平和を願って…」と記した。

宮沢和史さん