【識者談話】教師処罰の法整備必要(矢野恵美・琉大法科大学院教授)


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矢野 恵美氏

 現在の日本の刑法には、権力を持つ者による性犯罪の規定が存在しない。多くの国は教師から児童生徒など、地位に差のある関係における性暴力に対応する規定がある。

 今回の被害者は小学生で、無条件に強制わいせつ罪が適用されたが、例えば13歳以上なら強制わいせつ罪認定には暴行・脅迫が求められる。教師が教え子にわいせつ行為をしても犯罪にならない可能性があるのは、先進国の中で日本ぐらいだ。

 今年4月に教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が施行され、ようやくわいせつ行為などで教員免許を失効した者に、免許を再交付できないようになった。それまでは3年経過すれば再取得が可能だった。この国は児童生徒へのわいせつ行為をあまりにも軽視している。

 小・中・高校には、被害を受け教師に不信感を抱いても、子どもが相談できる専門の窓口がないのも問題だ。

 権力下にある子どもが教師に「NO」を突きつけることはとても難しい。セクハラや性暴力であると自覚できないことも多い。早期に相談して構わないことを教え、相談体制を整えることが急務だ。

 そして何より、教員の行為がきちんと罰される仕組みや法制度の整備が必要だ。
 (被害者学・刑事法)