県産モズクの収益力アップへ 平敷屋漁港に加工場新設 23年度完成目指す 沖縄・うるま市


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手作業でコストがかさみ、生産規模が小さい現在の加工場=17日、うるま市勝連の平敷屋漁港

 【うるま】モズクの一大産地であるうるま市勝連の平敷屋漁港敷地内に、モズクの加工工場を建設する計画が進んでいることが分かった。現在、勝連漁協が着工に向けた準備を進めており、2023年3月までに完成を目指している。現状では生産量が少ない生モズクや洗いモズクなどを製造し、販路拡大を目指す。

 勝連漁協で水揚げされたモズクは、県外の水産食品メーカーへの販売依存度が高い現状がある。勝連漁協が加工製造まで関わることで、価格の安定や生産者の収益向上につなげる狙いがある。

新しい加工場の立地予定地=17日、うるま市勝連の平敷屋漁港内

 勝連漁業協同組合が2018年から構想してきた水産庁の「浜の活力再生プラン」が、今年3月に承認された。同プランに基づく「水産業強化支援事業」として加工工場の建設に国、県、市からそれぞれ交付金が支給される見通しだ。事業費は約6億2500万円で、敷地面積は約5450平方メートル。平屋で鉄骨造、工場の床面積は約1160平方メートル。

 県産モズクは全国シェアの9割以上を誇り、勝連半島は県内水揚げの約4割を占める産地となっている。勝連漁協では約9割を県外メーカーに出荷しているため、豊作不作による価格の変動が激しく、輸送費もかさむという課題があった。コロナ禍の影響で外食産業の需要が落ち込み、売れ行きは低調のまま。製造面での県外メーカー依存度が高いことの脆弱性があわらになった。

 新しい加工工場では、県外メーカーとの競合を避けるため、カップモズクではなく生モズクや洗いモズクなどを製造する予定だ。認知度のある酢モズク以外にも、味噌汁やサラダなど幅広い用途で消費を促し、市場の拡大を目指す。工場労働者の雇用も生まれる見込みだ。
 (古川峻)