元県職員がエチオピアで稲作支援へ 農業機械の専門家「沖縄で培った知識と技術生かす」


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「沖縄で培った知識や経験を国際貢献につなげたい」と意気込む大城健さん=24日、八重瀬町当銘

 県農林水産部の元農業振興統括監で、現在は鹿児島大大学院連合農学研究科の博士課程に所属する大城健さん(67)=八重瀬町=が、6月末から2年間、農業機械の専門家として国際協力機構(JICA)を通してエチオピアへ派遣される。これまで培った知識や経験を生かし、同国の米の生産性向上に向け技術移転を行う。

 エチオピアの主食はテフという穀物で作るクレープ状の発酵パン「インジェラ」だが、近年はテフに米を混ぜてインジェラを作るなど食文化の多様化が進み、米の国内消費量が急速に伸びている。これを受け、同国の農業省は2007年に米を重要な農作物「ミレニアムクロップ」に選定。20年には国家稲作振興戦略を策定し、稲作振興を強化している。

 日本が有する豊富なノウハウと技術を学ぼうと、エチオピア政府が日本へ技術者の派遣を要請したことから、大城さんら農業機械の専門家が派遣されることになった。

 現地では政府機関の関係者らと連携し、農業機械の使い方を指導するほか、農業機械利用率の向上に向けた取り組みや小規模灌漑(かんがい)施設の整備なども支援する。

 大城さんは県立農業大学校で、農業機械全般の安全点検や操作方法などの教育指導に従事。県農業試験場でも8年にわたり、サトウキビの機械化一貫作業体系や機械化による低コスト化の確立など、経営や機械部門に携わってきた。

 大城さんは「サトウキビと稲作では作物に違いはあるが、機械化というキーワードでみると十分応用できる。沖縄で培った知識と経験を生かし、国際貢献としてエチオピア農業の発展に尽力したい」と意気込んだ。プロジェクトを通し、大学院の研究活動として「エチオピアにおける農作物の地域振興策に関する研究」をテーマに研究論文にも取り組みたいと語った。
 (当銘千絵、写真も)