「待ちに待った決定」 経済界、観光回復に期待 那覇、国際線再開へ


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閑散とする那覇空港国際線チェックインカウンター=26日

 2020年3月から全便運休が続いてきた那覇空港の国際線が、6月に再開される見通しとなった。新型コロナ流行が長引き、国際線ターミナルは閑散とし、休業状態を余儀なくされてきた。深刻な影響を受けてきた県内の観光業をはじめとした県内経済界からは、ゼロが続くインバウンド(訪日外国人観光客)の回復に向けて歓迎と期待の声が相次いだ。

 コロナ禍以前の2018年度、沖縄への入域観光客数1千万人のうち3割に当たる300万人がインバウンドで、うち180万人は空路を利用していた。逆境に立つ観光業界にとって、インバウンドへの期待は大きい。県ホテル協会の平良朝敬会長(かりゆしグループオーナー)は「待ちに待った決定だ。ボリューム(人数)については、感染状況をみながら対応していけばいい」と歓迎した。「日本の南の玄関口が開けば、アジアのマーケットへの門戸が開く。受け入れに備えて、協会の各ホテルも心構えはできている」と語った。

 沖縄ツーリストの東良和会長も「長かった。観光だけでなく、留学、文化交流も再開するということだ」と喜んだ。一方で、アジアのLCC(格安航空会社)は、廃業や減便が続き、日本国内の受け入れ体制にも課題があると指摘。「空港のハンドリング業務やセキュリティ業務を担う会社、レンタカー会社は体力が落ちている。民間の体力が戻るまで国や県の支援が必要だ」と求めた。

 「検疫などの事前準備や、海外路線就航の誘致活動が必要だ」。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長はそう強調し、受け入れ体制構築のために協議会の設置を要望。「シンガポールやタイなどは動き始めているので、どこをターゲットにするかも大事なポイントになる」と述べた。

 台湾では旅行先として沖縄の人気が高く、2019年には90万人が沖縄を訪れた。中華航空(台湾)沖縄支店の魏麟孫(ウェイリンスン)支店長は「1980年から沖縄線を運航してきた私たちにとって、那覇空港の国際線受け入れ再開は大変喜ばしいニュースだ」と歓迎した。「沖縄と台湾はビジネスや教育、文化、スポーツなどさまざまな面で強固な関係性を築いてきた。コロナ収束後には元通りになることに期待している」と述べた。

 観光のみならず、製造業も期待を寄せる。県工業連合会の古波津昇会長は、円安の状況下での健康食品や泡盛などの輸出拡大の可能性に言及。「台湾では供給網における脱中国化が進んでいると聞く。アジアに近い沖縄で機械部品などを製造することができないか、台湾への渡航がかなえば議論を深めたい」と意気込んだ。
 (當山幸都まとめ)