2年連続赤字のゆいレール、要因は?3両化への影響は? 渡慶次社長インタビュー


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 新型コロナ拡大の影響が続く中、沖縄都市モノレール(ゆいレール、渡慶次道俊社長)の2021年度決算は2年連続の赤字となった。渡慶次社長は26日、22年度の見通しについて「財務内容は少しは良くなるが、黒字転換とはいかない。開業20周年の23年度に黒字転換できるような実績を残したい」と語った。

 観光客が戻らず、23年度に見込む1日当たり平均乗客数は4万人で、コロナ本格化前の19年度(5万5766人)には及ばない。4~5月の大型連休中の乗客は21年同期比で3割増だったが、19年比では6割の水準にとどまる。地元客の利用も伸び悩んだ。

決算や今後の見通しについて語る沖縄都市モノレールの渡慶次道俊社長=26日、那覇市の沖縄都市モノレール本社

 23年度は3両編成の車両運行がスタートする。3両化に伴う新たな車両基地の整備も22年6月に着手予定だ。スケジュールへの影響について、渡慶次社長は「今のところ特段大きな変更はない。だが、この事態なのでどんなことが起こるかは分からない」と説明した。

 世界的な資源や原材料の価格高騰も懸念される。21年度の運行は20年度比で12%減ったが、運行に必要な「動力費」は電気料金値上げの影響で上昇した。

 収益の核となる運賃収入が伸び悩み、経営改善策として一等地にある駅舎の空間を活用した出店やイベントなどを通じた収益化に力を入れる。「安全、安心、定時にお客様を目的地に運ぶことは大前提に、成功体験を20周年にぶつけていく」とした。

 ゆいレールは11年に初めて値上げを実施し、19年には消費税増税に伴い一部区間を値上げした。渡慶次社長は「将来的に値上げに相当する事案や、利用者の理解を得られるものが出てきたらお願いすることはあるかもしれないが、今は着手する段階ではない」との見解を示した。
(當山幸都)