部活動改革に必要なことは 石原端子(沖縄大学准教授)<未来へいっぽにほ>


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石原 端子(沖縄大学准教授)

 2021年にコザ高校の運動部男子生徒が自ら命を絶った問題を受け、同年6月に「部活動の在り方に関する方針(改定版)」検討委員会が立ち上がった。主たる目的は、18年度に作成された方針の改定。メンバーは県教育委員会より招集された16人で、私もメンバーとなり、半年間で計4回の会議を行った。4回の会議でできることなんてたかが知れている。それでも重責を感じながら、事前に国内で起きた過去の事案と教育行政の対応などを整理し、参加した。

 初回会議の冒頭、委員長から「二度とこのようなことを起こさないために、本音で話し合いましょう」との言葉があった。とても大切な第一声だった。事実、そもそもガイドラインが守られていたら、こんなことにはならなかった。だから「ガイドラインを改定することにどれだけの意味があるのか」と、正直な意見が出た。

 また事件直後に実施された部活動実態調査で、指導者の回答率が50%にも満たず、危機感の欠如や人権意識の低さが指摘された。校務と部活動の両立に限界を感じている教員の多さも問題提起された。

 県教委が選ぶメンバーは学校関係者が多く、忖度(そんたく)せずに話し合えるのかと批判も多い。そのため私は、部活動を巡る問題を長く取材しているジャーナリストをアドバイザーに加えることを提案し、実現した。会議の内容は広く周知されるようメディアを通じて情報公開され、改定されたガイドラインは県教委のホームページで一般公開された。

 委員会で語られた多くの本音を実効性のある形につなげるため今何より必要なことは、大人がゆとりをもって本音で話し合う時間なのだと思う。子どもの命を全力で守るため、覚悟をもって知恵を出し合いたい。