サンゴ保全や持続可能なダイビングを促進 認定人も育成 恩納村


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 沖縄県恩納村が2020年に国内で初めて導入した、サンゴ礁を保全することを目的に持続可能な観光やダイビング・シュノーケリング事業を促進する国際的な取り組み「グリーン・フィンズ」。恩納村役場企画課SDGs推進事務局は、日本初となるグリーン・フィンズ認定人(アセサー)を育成しようと23~28日、村内のダイビングショップを拠点に6日間のトレーニングを実施し、県内外から6人が参加している。最終日の28日には参加者へアセサーとしての認定を行う。

アセサー認定に向けトレーニングを受ける参加者ら=27日、恩納村前兼久

 グリーン・フィンズは、国連環境計画と英国のリーフワールド財団によるサンゴ礁保全の取り組み。主に、環境に配慮したダイビングやシュノーケリングのガイドライン作成と、それを順守しているダイビングショップの評価・認定を行っている。世界では14カ国の約600店がグリーン・フィンズの考え方を導入している。導入することで、環境意識の高いダイビング客への訴求効果も見込まれる。

 日本国内では各ショップを評価・認定するアセサーがおらず導入店舗も恩納村4店舗にとどまる。同村は国内でアセサーを育成することで普及活動を推進したい考え。

アセサーに必要なダイビングスキルを確認する参加者ら=25日、恩納村前兼久周辺の海域(オーシャナ提供)

 トレーニングでは同財団のJJ・ハーベイさん(39)とジェームス・グリーンハルさん(33)が沖縄を訪れ参加者に直接教えている。座学の講義に加え、各ショップを評価するために必要なスキルを実際に潜水して指導した。参加した恩納村観光協会の名城一幸さん(46)は「村の産業は観光業がメーンでサンゴ礁を育む豊かな生態系が存在する海があるからこそ成り立っている」と強調する。アセサー認定後は持続可能な観光産業の実現に向け村内のダイバーやダイビングショップにもグリーン・フィンズの考え方を広げていくつもりだ。

 ハーベイさんは、沖縄では赤土流出や魚への餌付け、サンゴの踏みつけなどの課題があると指摘。「自然を守ることで観光客が訪れ地域経済活性化にもつながる。まずはアセサーが正しい知識を持ち広く普及していくことが大事だ」と活動の意義を語った。

(当銘千絵)